Onehandpianomusic 一般社団法人ワンハンドピアノミュージック

 
一般社団法人ワンハンドピアノミュージックは、その前進である『「左手のアーカイブ」プロジェクト』が行ってきた「左手のピアノ作品」の復興事業を引き継ぎ、片手で演奏される鍵盤音楽のもつ豊かさを広く伝えていきます。

 「苦難の歴史を乗り越えた芸術を、開かれた未来のために」をスローガンに、以下の事業展開を推進し、 芸術振興事業による文化発展への貢献、および教育福祉事業による地域社会づくりを行います。

1. 芸術振興事業
 埋もれてしまった歴史的名曲の発掘、および現代作曲家との新たな楽曲の創出を行い、それらの楽曲の録音・映像資料制作と、楽譜・文献資料の制作をすることで、この分野の芸術的価値を未来に伝えます。

2. 教育福祉事業
 片手に運動障害を患う者も含め、この分野の魅力をより多くの者に伝えるために、片手演奏によるピアノレッスン、そして鍵盤ハーモニカを使った片手演奏への導入、そしてそれらを福祉(リハビリなど)に活用するなど、社会に広く認知させることを目指します。

3. イベント 事業
 コンサートやワークショップによる啓発活動を行い、広く音楽の豊かさを伝えます。 芸術振興に関するイベントとしては、第一線で活躍するピアニストによる演奏会「左手のアーカイブコンサート」を行います。教育福祉事業に関するイベントとしては、一般参加者による片手のピアノ演奏の発表と交流の場を提供する「ワンハンド・ピアノフェスタ!」 と、鍵盤ハーモニカによる「ケンフィル・フェスタ!」を行います。

※2010年に左手のピアニスト智内威雄が設立した任意団体「左手のアーカイブ」プロジェクト(Lefthandpianomusi.org)


芸術振興事業について

 芸術振興事業は、当法人の前身である「左手のアーカイブ」プロジェクトの活動を受け継ぎ発展させるものです。

 「左手のアーカイブ」プロジェクトとは、2008年に左手のピアニストの智内威雄が提唱し、その後の2010年に発足しました。左手の音楽という忘れ去られてしまった作品を発掘し普及、認知させることを目的として主に次のことを行なってきました。

  • 1)左手の歴史的名曲の録音・映像資料の制作と公開
  • 2)入門・初級など学習者のための楽曲の制作及び、現代音楽作曲家への新たな作品依嘱と作品の出版
  • 3)左手のための演奏指導

 
 当法人では、これらの活動を引き継ぎ、次の方針で行なっていきます。

 1)において、左手のピアノのみならず世界に点在する「片手のピアノ作品」の発掘と調査を行います。現存するもので何千という作品があると言われていますが、その全貌は明らかではありません。またそれら「片手のピアノ」に関連した資料も収集、整理し公開していきます。現在「左手のアーカイブ」プロジェクトwebサイトでは左手のピアニスト智内威雄を中心とした映像資料を公開しております。今後これを発展させ「片手のピアノ」を包括した資料館(図書館)を作ることを目指します。

 2)において、歴史的作品を復興させると同時に、片手演奏のための新しい作品を現代作曲家と共に創造します。過去の作曲家や演奏家が達が作り上げてきたものを引き継ぎ、現代のスタイルで片手の音楽を発展させていくことは我々の使命だと考えます。現在日本、アジア、ヨーロッパの各地で作品が生み出されています。それらを順次、楽譜出版という形で世に出していき、また音源制作を行います。
 「片手のピアノ作品」の歴史を振り返ると、戦争や病気など、何かしらの理由で障がいを患ったピアニストのために作曲され、発展してきた分野でした。 しかしその芸術的価値は、障がいのあるなしという身体的な制限だけで語られるべきではなく、ピアノによる優れた音楽表現を開拓してきた一つの演奏分野として捉えるべきだと考えます。
 これらの作品を、多くのピアノ愛好家と共有すべく入門、初級、中級の作品を新たに作り、教育の現場でも片手演奏の導入をし易いものとしました。そして社団法人ワンハンドピアノミュージックの設立に伴い、特にその求める声の多い入門、初級者用の作品については当法人の教育福祉事業の活動として引き継ぐ事になりました。

 3)においては、当法人の教育福祉事業として活動を継承し、引き続き片手の音楽を次世代に繋ぐ人材の育成と、障がいを持つものに対してのピアノ演奏のサポートを行います。

「左手のアーカイブ」プロジェクト


教育福祉事業について

 ワンハンドピアノミュージックの教育福祉事業として「ワンハンド・ピアノレッスン」と「ケンフィル」による楽器演奏の普及活動を行っています。
 この事業を通して、片手演奏による社会貢献を行い、 ひいては障がいのあるなしにとらわれない片手音楽の社会化を目指します。

ワンハンド・ピアノレッスン

 ワンハンド・ピアノレッスンは「左手のアーカイブ」プロジェクトの教育研究部門としてスタートしました。 主な研究内容は片手演奏の教授法と、それに関連する教材作成です。そしてその成果を元に指導を行う場をつくり、この分野の次世代の演奏者と教育者を育成することを目的とします。そして、潜在的に相当数にのぼるといわれる片手にハンディキャップをもつ音楽愛好家に、鍵盤楽器を演奏するひとつの道を示したいと思います。

2009年から、中級者への教育研究を開始。
2012年から、入門・初級者にたいする教育研究を開始する。同年、世界で初めて習熟度に応じた片手演奏のための楽譜を出版する。
2014年に、それらの教育研究を統合し、片手演奏の魅力をより広めるために、大阪府箕面市を拠点としたワンハンド・ピアノレッスンの音楽教室を開講する。その他にも埼玉、東京にて授業を行う。
2015年には、若手作曲家を中心とした作曲グループを立ち上げ、本格的な教材作成を始める。同年夏に19曲のオリジナル楽曲からなる「左手演奏のためのやさしい19の小品集」を出版する。
同年、世界の民謡を片手で演奏するために民謡収集・編曲を開始する。16年は朝鮮半島の民謡を元に7つの楽曲を編曲。
2016年には、バッハや古典の研究家が加わり、左手のみの演奏で一つの大きな音楽史を描くことを目指すプロジェクトを立ち上げる。 同年「J.S.バッハ 左手のための小前奏曲集第1巻」を出版する。

参考URL : ワンハンド・ピアノレッスン

ケンフィル

 ケンフィルとは「鍵盤フィルハーモニー交響楽団」の略称で、音楽教室でありながら合奏団としての性格を持ち、ボランティア演奏など音楽活動を通して、地域の交流を深める活動を行います。
 家族参加を奨励しており、3世代の年齢層が集まる小さなコミュニティーを作りながら、器楽演奏による地域つくり「音楽村プロジェクト」を推進しています。
 鍵盤ハーモニカは片手の演奏に適した楽器であり、鍵盤楽器に触れる入口としても期待されています。器楽演奏を通して、アンサンブルや交流など、音楽の喜びを味わっていただけることでしょう。
 そして現在、医療機関と連携して、リハビリなど福祉への活用を研究しています。それらを通して、片手音楽による社会貢献を目指します。


イベントについて

 ワンハンドピアノミュージックが主催するイベントには、「左手のアーカイブコンサート」、「ワンハンド・ピアノフェスタ!」、「ウィトゲンシュタイン記念左手のピアノ国際コンクール」があります。

左手のアーカイブコンサート

 2010年に神戸で始めた左手演奏のためのコンサートシリーズです。智内威雄が中心となり、兵庫県と東京都で合わせて10回のコンサートを開催してきました。これまでにMaxime Zecchini氏、舘野泉氏、Jean Dubé氏など世界トップレベルのピアニストや、国内外の室内楽奏者を招聘して行ってきました。歴史的な名曲を紹介するとともに、同時代の作曲家と作り上げる新たな芸術作品を発表するコンサートであり、左手のピアノ演奏の高い技術と、演奏表現を提示します。

ワンハンド・ピアノフェスタ!

 一日ゆっくりと片手音楽に親しみ学ぶことのできる参加型のデイタイムイベントです。障がいの有無にかかわらず「片手のピアノ」を楽しみ、参加者同士の交流を深めます。
 2013年から始まり、これまで東京と大阪で計7回行われてきました。参加者の演奏発表、プロの左手のピアニストによる演奏講評、講師陣にをよるワークショップ、そしてミニコンサートなどを行います。
 そして今後は、このイベントに作曲家や評論家をはじめとする多彩なゲストを招き、様々な角度から片手演奏に関するパネルディスカッションを行うなど、新たな情報の発信源にしていきたく思います。

ウィトゲンシュタイン記念左手のピアノ国際コンクール

“苦難の歴史を乗り越えた芸術を、開かれた未来のために”をスローガンにこれまでも「左手のピアノ音楽」の普及活動を行ってきました。その2度の世界大戦で発展した演奏分野は、楽曲の外面的な美しさだけではなく、近代の世相をも映しだす類い希なレパートリーです。約300年続いてきたと言われる左手のピアノ音楽ですが、その演奏分野に特化したコンクール・コンテストが行われた記録はなくクラシック音楽史上初めての試みになります。

第1回大会:2018年11月2、3、4日 大阪府箕面市メイプルホール ピアノアマチュア部門、ピアノプロフェッショナル部門
第2回大会:2021年12月18日 大阪府箕面市メイプルホール ピアノアマチュア部門、作曲プロフェッショナル部門

左手のピアノ国際コンクールは、国際文化交流を育む箕面市と関連する諸団体、市民と共に世界に向けて発信を行います。