芸術振興事業は、当法人の前身である「左手のアーカイブ」プロジェクトの活動を受け継ぎ発展させるものです。
「左手のアーカイブ」プロジェクトとは、2008年に左手のピアニストの智内威雄が提唱し、その後の2010年に発足しました。左手の音楽という忘れ去られてしまった作品を発掘し普及、認知させることを目的として主に次のことを行なってきました。
- 1)左手の歴史的名曲の録音・映像資料の制作と公開
- 2)入門・初級など学習者のための楽曲の制作及び、現代音楽作曲家への新たな作品依嘱と作品の出版
- 3)左手のための演奏指導
当法人では、これらの活動を引き継ぎ、次の方針で行なっていきます。
1)において、左手のピアノのみならず世界に点在する「片手のピアノ作品」の発掘と調査を行います。現存するもので何千という作品があると言われていますが、その全貌は明らかではありません。またそれら「片手のピアノ」に関連した資料も収集、整理し公開していきます。現在「左手のアーカイブ」プロジェクトwebサイトでは左手のピアニスト智内威雄を中心とした映像資料を公開しております。今後これを発展させ「片手のピアノ」を包括した資料館(図書館)を作ることを目指します。
2)において、歴史的作品を復興させると同時に、片手演奏のための新しい作品を現代作曲家と共に創造します。過去の作曲家や演奏家が達が作り上げてきたものを引き継ぎ、現代のスタイルで片手の音楽を発展させていくことは我々の使命だと考えます。現在日本、アジア、ヨーロッパの各地で作品が生み出されています。それらを順次、楽譜出版という形で世に出していき、また音源制作を行います。
「片手のピアノ作品」の歴史を振り返ると、戦争や病気など、何かしらの理由で障がいを患ったピアニストのために作曲され、発展してきた分野でした。 しかしその芸術的価値は、障がいのあるなしという身体的な制限だけで語られるべきではなく、ピアノによる優れた音楽表現を開拓してきた一つの演奏分野として捉えるべきだと考えます。
これらの作品を、多くのピアノ愛好家と共有すべく入門、初級、中級の作品を新たに作り、教育の現場でも片手演奏の導入をし易いものとしました。そして社団法人ワンハンドピアノミュージックの設立に伴い、特にその求める声の多い入門、初級者用の作品については当法人の教育福祉事業の活動として引き継ぐ事になりました。
3)においては、当法人の教育福祉事業として活動を継承し、引き続き片手の音楽を次世代に繋ぐ人材の育成と、障がいを持つものに対してのピアノ演奏のサポートを行います。